スマートフォンは身近なコンピュータ

わたしたちの日常生活は、たくさんの「はたらくコンピュータ」たちのおかげで成り立っている、と前回記事で書きました。この「はたらくコンピュータ」シリーズでは、そんなコンピュータたちのことを皆さんによく知ってもらえるように、私たちの身近にあるコンピュータたちのことを、情報の科学とコンピュータサイエンスの視点から紹介していこうと思います。

いま、私たちにとって最も身近にあるコンピュータといえば、なんといってもスマートフォン。総務省の「平成26年通信利用動向調査」によると、13才~39才の個人のスマートフォン保有率は70%を超えており、特に20才~29才では87.5%と高い水準にあります。世帯でみた場合のスマートフォン保有率は64.2%。まさに「みんなが持っているコンピュータ」の王さまはスマートフォンである、と言えるでしょう。

スマートフォンの中のコンプくん

図1:スマートフォンの中のコンプくん

図1:スマートフォンの中のコンプくん

さて前回記事に登場してもらったコンプくん。スマートフォンの中にもコンプくんがいます。コンプくんはコンピュータですが、コンピュータって何でしょうか。「計算機」という訳語はもう当てはまりません。わたしたちがスマートフォンを計算に使うことはほとんどありません。カメラ機能で写真を撮って様々なソーシャルメディアにアップロードしたり、買い物サイトで買い物をしたり、Webサイトやソーシャルメディアでいろんなコンテンツを楽しんだりするのに使っています。

実はコンプくんは、情報を動かしたり情報によって動きを変えたりすることができる「情報機械」。情報を扱う機械だからこそ、わたしたちの生活のいろんな場面でとても役にたつお仕事をすることができるのです。

今回はまずスマートフォンの中のコンプくんを見てみることで、情報機械としてのコンピュータがいったい何なのか、その基本機能を見てみることにしましょう。

コンプくんの5つの特技

図2:コンプくんの5つの特技(①見る・聞く・感じる、②書きとめる、③ためる&取り出す、④伝える、⑤分担する)

図2:コンプくんの5つの特技

スマートフォンの中のコンプくんに限らず、世の中の全てのコンプくんたちには5つの特技があります。これは「情報機械」としてのコンピュータすべてが持つ基本機能です。

その特技というのは、
①見る・聞く・感じる
②書きとめる
③ためる&取り出す
④伝える
⑤分担する
の5つです。

「たった5つだけ?」そう思った方もいるかもしれません。そうなんです。社会の至るところにある「はたらくコンピュータ」たちはみんな、この5つの特技をの組み合わせでお仕事をしているのです。

それでは、スマートフォンの中のコンプくんが、この5つの特技をどのように使っているのか、見てみましょう。

5つの特技の組み合わせ

図3:写真を撮るコンプくん

図3:写真を撮るコンプくん

スマートフォンにはいろんな使い方・機能があるので、今回は「カメラ機能で撮った写真を、メッセージ機能で友人に送る」という使い方を考えてみます。コンプくんは5つの特技をどのように使って、そのお仕事をしてくれるのでしょうか。

まず、あなたはカメラ機能を起動して、撮影ボタンを押します(図の①)。そのときコンプくんは、撮影ボタンが押されたことを感じ取って、そのときカメラを通して見ている景色を写真に撮ります。

撮った写真データは、そのままでは消えてしまいます。コンプくんは大事な写真データを失わないように、メモリにそれを書きとめます(図の②)

「うまく撮れたかな?」とわくわくしているあなたに、コンプくんは書きとめた写真データをスクリーンに表示して、どんな写真なのかをあなたに伝えてくれます(図の③)。

そして電源OFFになっても写真データが無くならないように、コンプくんはスマートフォンのアルバムにその写真を保存してくれます(図の④)。

うまく撮れた写真でした。嬉しくなったあなたはそれを、友人にメッセージ機能で送ります(図の⑤)。これはあなたのスマートフォンのコンプくん一人ではできません。そこでコンプくんは、メッセージサービスを提供しているサーバーコンピュータ(※1)と、友人が持っているスマートフォンの中のコンプくんと協力して、あなたの友人に写真を届けます。まずあなたのコンプくんはサーバーコンピュータのコンプくんに写真データを送ります。サーバーコンピュータのコンプくんはそれを、友人のコンプくんに送るのです。友人のコンプくんは「写真が届いたよ!」と友人に伝えます(※2)。

こんな風に、コンプくんたちは、みんなで分担して作業することで、わたしたちの生活を豊かにするためのお仕事をしてくれたりもしているのです。

(※1)サーバーコンピュータというのは、人間とやりとりするのではなく、ほかのコンプくんたちの仕事を後ろで支えてくれる「縁の下の力持ち」の役割をもったコンピュータです。とても処理能力が高いことが多いです。

(※2)友人のコンプくんはここで、「分担する」「伝える」という特技を使っていますね。(ほかにも「書きとめる」「ためる」「見る・聞く・感じる」も使っていますが、詳しいことはまた今度にしましょう!)

スマートフォンの中のプログラ美ちゃん

図4:スマートフォンの中のコンプくんとプログラ美ちゃん

図4:スマートフォンの中のコンプくんとプログラ美ちゃん

さて、簡単な例でしたが、スマートフォンの中のコンプくんがどのようにして、あなたの生活を豊かにするためにはたらいているのかを見てみました。

ところで前回、「コンピュータはプログラムに書いている指示どおりに動く」と書きました。ですから、実は先ほどの例でも、コンプくんは自分で考えていろんな作業をしたわけではありません。あなたとのやりとり、カメラ機能の利用、メッセージサービスのサーバーコンピュータとのやりとりなどいろんな作業が出てきましたが、それらのやり方を全て書いてあるプログラムがあるからこそ、コンプくんはこれらの作業をやり遂げることができたのです。

ですから、スマートフォンの中のコンプくんは、たった一人で作業していたわけではありません。コンプくんにその都度やり方を教えてくれる、プログラ美ちゃんがいたからこそできたのです。

コンピュータとプログラムの仲良し関係(?!)については以下を読んでみてください!

わたしたちがスマートフォンを使ってできることは実に様々です。カメラ機能やネットワーク機能、GPS機能や指紋認証、音声認識を使ったサービスもあります。それらは全て、プログラムがあるからこそできるのです。私たちの手に収まるスマートフォンですが、そこに入っているプログラムは、文書にすると何千万行もの文章でできたとても複雑なものです。作るのもとても大変なのですが、それらを誰かが作ってくれるからこそ、わたしたちはスマートフォンを使って生活を楽しむことができるのです。

例えば皆さんにおなじみの、グーグルやフェイスブック。これらのサービスもプログラムで動いているのですが、その大きさはどれくらいでしょうか?下記の記事も読んでみてください!

この「はたらくコンピュータ」シリーズでは、身近なコンプくんとプログラ美ちゃんを紹介しながら、コンピュータという「情報機械」がどのような仕組みでわたしたちの社会を支えているのかを、情報の科学とコンピュータサイエンスの視点から見ていきたいと思います。お楽しみに!

(かながわグローバルIT研究所 森岡剛 事業内容はこのリンクをクリック