0と1とわたしたちの生活

「コンピュータは0と1で動いている」とよく言われます。「2つの数字で表すこと」を英語でdigitalと言いますので、現代のコンピュータは「デジタルコンピュータ」という種類のコンピュータです。0と1しかないのに、スマホやパソコンでわたしたちが扱っている全てのデータは0と1の組み合わせで動いているというのは、なんだか不思議ではありませんか?楽しかった旅行の写真、恋人へのラブレター、GPSを使った現在地情報、おいしいレストランの口コミ情報…これらすべてが0と1でできているのです。さらにはあなたの住民票情報、銀行口座番号とその残高、健康診断で撮影したX線写真など、あなたの生活は0と1によって支えられているといってもいいくらいです。

ちなみに、コンピュータの黎明期、1940~1950年代には私たちが普段から親しんでいる0,1,2,3,4,5,6,7,8,9の10個の数字を使うコンピュータもありました。なぜその方式がすたれてしまい、今は全てのコンピュータがデジタル型になったのか、というのもとても面白いのですが、その話はまた後日にしたいと思います。

さて、この二つの数字ですべての情報を表す方式を「2進法」と言います。2進法で表された数は「2進数」です。この不思議な2進数ですが、実際はとても簡単な理屈でできています。今回の記事では、2進数がどんなものなのかを、小鳥さんたちと一緒に学んでみましょう。

何羽の小鳥?

気持ちの良い木立の中を散歩していると、かわいい青い小鳥たちを見かけました。その数を数えたあなたは、それをほかの人に伝えたいと思います。さて、小鳥の数をあなたはどのように書きとめるでしょうか?「そんなの普通に数字を使うでしょ!」と思ったあなた、そんなに世の中は単純ではありません。下の絵を見てみてください。

アラビア数字では15、漢数字では十五や一五、ローマ数字はXV、英語ではfifteen、ひらがなではじゅうご、16進法ではF、そして2進法では1111です。

小鳥は何羽いるでしょうか?いろんな数の書き方を見てみましょう。

小鳥は何羽いるでしょうか?いろんな数の書き方を見てみましょう。

小鳥は実は15羽いたのです。現代の日本では、その情報を「15羽」と書きとめる人が大多数だと思います。これはアラビア数字と呼ばれる文字を使った方式ですね。

実際にはインドで生まれた文字なのですが、アラビア経由でヨーロッパに伝わったのでヨーロッパ人が「アラビア数字」と呼び、その名がそのまま定着してしまいました。

でも日本には別の、身近な数の書き方があります。それは漢数字。「十五羽」や「一五羽」とも問題なく書けますね。しかも明治期に定着したアラビア数字と違って、漢数字での書き方は日本における漢字の歴史と同じくらい古くからある書き方です。

書き方はまだあります。「XV」はローマ数字で15を表します。ちょっとカッコいい感じがしますか?

英語の文章ではfifteenと書きますし、日本語ではひらがなで「じゅうご」と書いても通じますね。

ここまでは、わたしたち普通の日本人にも理解できる書き方。「小鳥の数」という同じ情報を伝えるにも、いろんな書き方があると思いませんか?

コンピュータで使う2進数と16進数

コンピュータではさらに、2進数と16進数を使っています。それは、いままで挙げたような「人間用の数字」を機械で扱おうとするといろいろ複雑で、機械を作るのが大変になってしまうからです。コンピュータは情報を扱う機械。その中では人間が使う数字ではなく、機械に適した数字体系を使うことにしたことは、コンピュータの発展に大きく貢献した重要なアイデアだったのです。

まずは16進数。これは0,1,2,3,4,5,6,7,8,9,A,B,C,D,E,Fという15個の数字を使って数を表す方式です。「15羽の小鳥」は16進数を使うと「F羽の小鳥」と書けます。通常の書き方よりも文字数がちょっと少なく済むことに気づきますか?

そして2進数。これは0と1しか使いませんが心配いりません。「1111羽の小鳥」と書けばいいのです。どうしてそうなるのか?それは別の記事で説明しますのでお楽しみに。

情報の書き方と意味

不思議な感じのする2進数ですが、その考え方は実に単純です。単純なのに奥深い、そんな2進数の長所が、今日のコンピュータ社会の基礎となったとも言えるでしょう。

コンピュータは情報を扱う機械です。情報を取り込み、加工して新たな情報を作りだし、それを必要とする人やコンピュータに送り出します。情報にはいろいろな書き方があります。「15羽」という情報にも、いろいろな書き方あり、それぞれに長所や短所があるのです。「15」という書き方は私たちにはわかりやすいですが、コンピュータには扱いにくい書き方です。そして「1111」という書き方は、わたしたちには馴染みがありませんが、コンピュータには大変分かりやすい書き方なのです。

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