そろばんを持った笑顔の少年の絵

「小学校とコンピュータ」で連想するのはそろばんかもしれません。しかし、そろばんをコンピュータと呼べない理由があるのです。ヒントは「データ」と「プログラム」の考え方にあります。

そろばんとコンピュータ

コンピュータサイエンスが大好きなわたし。コンピュータの歴史も大好きです。コンピュータというと最近のもののように感じますが、それは「電子計算機」だけを考えるから。わたしはコンピュータを「情報を扱う機械、つまり情報機械」と捉えています。そう考えると、コンピュータ、つまり情報機械は長い長い歴史をもっているのです。

さて、コンピュータの歴史を考えると出てくるのが「そろばん(算盤)」。確かに、暗算や紙と鉛筆での計算よりも速く確実な計算を実現させてくれるこの道具。「計算器」とは確かに呼べるでしょう。しかし現代の意味での「コンピュータ」とは呼べるでしょうか?

そろばんとコンピュータの違い

「情報を扱う機械、つまり情報機械」というコンピュータの定義に戻ってみましょう。そろばんは確かに情報を扱っています。計算すべき数、計算途中の数、そして計算結果である数など、「数」という情報を確かに扱っているのです。

しかしここで、そろばんには、扱える情報に大きな制約があることに気づくでしょうか。それは、「データ」しか扱えない道具である、ということです。例えば「計算方法」という情報を入力して、その計算方法に従った計算を行う、といったことはそろばんにはできません。

では、現代のコンピュータには「計算方法」を入力として与えているのでしょうか?答えは「Yes」です。それは「プログラム」のこと。または「ソフトウェア」や「アプリ」といっても同じことです。

それでは、コンピュータとそろばんの違いは以下のようにまとめることができます。

  • プログラム(アプリ)を与えると、それをその通りに実行してくれるコンピュータ。プログラム(アプリ)を変えると機能も変わる。
  • プログラム(アプリ)を与えることができず、実際の計算は人間がやっているそろばん。計算方法を変えたいなら、人間が別の計算方法に従ってそろばんを使うだけ。

そろばんは実際は、コンピュータの構成要素(部品)の一つである「メモリ(主記憶装置)」と同じ役割を持っていると言えるでしょう。CPU(中央処理装置)に当たるモノを持っていないので、その役割は人間が果たしているのです。

計算に用いる数という「データ」を扱うことができる大変便利なそろばん。しかし、計算方法という「プログラム」は全く表現することもできなければ扱うこともできません。ですから、そろばんはコンピュータとは言えないのです。

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(かながわグローバルIT研究所 森岡剛)