晴れた空の下で様々な人々が穏やかに暮らす西洋風の街のイラスト

高校生を対象に「日常でプログラミングで動いているもので思いつくもの」を尋ねたあるアンケート調査があります。自由回答で複数回答なのですが、最も多かったのは「ゲーム」と「わからない」でした。わたしたちの生活はコンピュータとプログラミングで支えられているという事実はなかなか子供たちには浸透していないようです。

現代社会は「IT社会」とよく言われます。それは、コンピューターと情報システムが隅々にまで普及しており、ネットショッピングやソーシャルネット、ATMや電子マネー、天気予報や電車の運行など、わたしたちの生活は情報システムが支えているという事実があるからです。わたしたちは情報システムに囲まれて生活していますが、それが目につくことはありません。学校で教わることもありません。企業が新サービスを始めるとき、そこには必ず情報システムがあるのですがそれが語られることもありません。リンゴが落ちる理由や、自分たちの体のしくみ、法律などの社会のルールは学ぶのに、同じくらい身近な存在である情報システムについては誰も教えてくれないのです。

ところで、このような「IT社会」で生きている高校生たちは、その事実をどこまで認識しているのでしょうか。「おそらく全く知らない、知らされていない」というのがわたしの感覚でしたが、これというデータは持っていなかったところ、先日、神奈川県の専修大学のネットワーク情報学部で開催された全国高等学校情報教育研究会(全高情研)の第9回全国大会での「プログラミングに関するアンケート調査」と題された発表で、ずばりそこを聞いたアンケート調査の結果が発表されていました。今回はその結果をご紹介しようと思います。

参考情報:ところで、全高情研とは、高校での情報教育の在り方について全国から250名以上の情報教員が集まって、研究報告などで互いに啓発しあうという場にて、わたしも一般参加者として聴講し、高校における情報教育の現状を見聞きしてきました。普段はわからない高校での日常、それを垣間見るとてもよい機会でした。

 

高校生と「IT社会」

ご紹介するのは以下の研究発表です:

  • 「プログラミングに関するアンケート調査」、埼玉県高等学校情報教育研究会研究委員、全国高等学校情報教育研究会第9回神奈川大会、2016年8月

プログラミング教育への関心が高まるなか、効果的な指導案や教材開発にはまず、高校生の実態の把握が不可欠です。そこでその実態把握のために実施したアンケート調査の結果を報告するのが上記の研究発表。想像や机上の空論ではなく、データやエビデンスに基づいて議論しようという姿勢はとても重要で、今回の発表者には敬意を表します。

アンケートは埼玉県の高等学校6校の合計569名の生徒が対象。プログラミング経験の有無(約4割が経験あり)や、プログラミングへの印象(5割強が「難しい」)や、プログラミングへの関心(「やってみたい」と「やりたくない」が拮抗)という結果も興味深いのですが、今回取り上げたいのは、身近にあるプログラミングに関するもの。「日常でプログラミングで動いているもので思いつくもの」を自由回答でたずねています。上位にランク入りした回答は以下のようなものでした:

  • 1位:「わからない」(21.6%)
  • 1位:「ゲーム」(21.6%)
  • 2位:「パソコン(PC)」(15.3%)
  • 3位:「ロボット」(14.6%)
  • 4位:「スマホ(携帯)」(10.5%)

なんと「わからない」が堂々の1位です。ほかに挙げられている回答も抽象的ですね。社会全体が「プログラミングで動くもの」によって支えられているということは、まだこの年代の日本人には浸透していないようです。

これは驚くべき結果ではありませんが、これが数値で表されたことには大きな価値があると思います。プログラミング教育で盛り上がる大人たちがいる中、高校生にとってはプログラミングがいったい彼らの生活にどう関係するのかすら伝わっていない、ということがよくわかる結果なのですから。

 21世紀の新教養

プログラミングとコンピューターと情報システムに囲まれてわたしたちは生きているわけですから、プログラミングとコンピュータと情報システムの知識は、21世紀を生きるすべての人の一般教養です。、一部の「理工系の人」・「技術好き」・「技術オタク」だけのものではないはずです。

特にこれは若い世代にとって大事な教養のはず。しかも、それはとても深い理論と幅広い応用、そして人々の生活をより良いものに変える実践を含む、とても楽しくて価値のある分野なのです。

まずは、身近にあるコンピュータとプログラミングについて、子どもに話して聞かせてあげてください。コンピュータとプログラミングは遠いものではなくて、とても身近にあるもの。わたしたちの生活を支える大切なものたちなんだと教えてあげることが、これからの人工知能時代を生きるわたしたちの子供たちにとってとてもよい贈り物になるはず、そう思っています。

そして「かながわグローバルIT研究所」はこのサイトで、そのネタとなるような記事をこれからもどんどん公開していきます!どうぞよろしくお願いします。

 

ホーム画面に戻るにはこのリンク

関連記事:

(かながわグローバルIT研究所 森岡剛)