「絵本で楽しむ科学・技術・工学・数学(STEM)」シリーズ、第6弾は2016年に出版されたばかりの新刊、「大坂城 絵で見る日本の城づくり」。STEMのうちの「工学(E)」の要素を持っていますが、小難しいことは何もありません。小学校低学年から大人まで楽しめる、「ウォーリーを探せ」的なノリの良書なのです。

書籍情報:

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青山邦彦=作
北川央(大坂城天守閣館長)=監修

出版社(講談社)のページはこちら:http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784061332966
Amazon.co.jpのページはこちら:大坂城 絵で見る日本の城づくり (講談社の創作絵本)

絵本の紹介

ストーリーらしきものはごく単純。殿様(おそらく徳川家康?)に「豊臣秀吉が城を造るそうなので、探って参れ!」と指示された3人の子ども忍者のダイスケ、ケンタ、サオリ。城づくりに潜り込んで、その全ての作業に参加して内情を探ります。

この絵本のすごいところは、まず立札が立って人集めが行われ、縄張りが張られて測量を行うところから城づくりが始まるところ。そう、ただ建物を造るだけではなく、「城づくりプロジェクト」の最初のステップから始まっているのです。

そして土を掘り、石を運び、石垣を積み、足場を組み、天守の骨組みを建て、本丸の御殿の骨組みも建て、瓦を並べ、中の仕上げを行い、ふすまでの内装といった各工程を見開きで見せてくれます。

城づくりの工法の説明は控え目に付けられているのみ。絵のなかにまぎれこんでいる子ども忍者を探しているうちに、たくさんの作業員が手分けてして行っている様々な作業が自然に目に入ってくるという工夫がされていて、小難しい説明を読むことなしに「城づくりの流れ」を楽しみながら理解することができます。

わたしは「ウォーリーをさがせ」的な絵本は苦手なのですが、この本だけはゲーム感覚で楽しみながら城づくりを満喫できました。やっぱりSTEMは楽しいですね!

モノづくりが大好きで、レゴや工作ばかりやっているうちの小学一年生の息子にもこの本を見せたところ、昔の人たちはこうやって力を合わせてお城を造っていたのか!と感動しきり。小学校低学年からおすすめです!(子ども忍者のうち、ダイスケを見つけるのはけっこう難しいですが。)

関連情報:

(かながわグローバルIT研究所 森岡剛)