やってくる人口知能時代。変化する生活環境や仕事環境に対して、自分を適応させていくことが幸せな人生の土台になることでしょう。それには、身体感覚を伴う遊び体験が大事です。

人工知能ブームです。ちょっと盛り上がりすぎていろんな報道が飛び交っていますが、最近注目を浴びたのはこれではないでしょうか:

ロボットと仕事競えますか 日本は5割代替、主要国最大」、日本経済新聞、2017年4月22日

人工知能とロボット技術が進歩することで、いろんな仕事が機械によってなされるようになる。そうすると人間のする仕事が無くなっていく脅威論がよく言われますが、わたしはもっと楽観的です。技術によって人の仕事が変わっていく(奪われるのではなく)というのは、いままでの歴史でよくあったことだからです。

人工知能が雇用を増やす

例えばATM。ATM以前の時代って、想像できますか?お金を引き出したり、口座に入金するためには、金融機関の窓口に行かなければならない時代があったんです。なので、窓口には口座入出金ばかりやる行員さんがたくさんいました。

そこへ登場したATM。金融機関は、口座入出金という労働集約的な仕事を人間ではなく機械でこなすほうがいいので、お客さんをできるだけATMに誘導するようにします。そうすると、窓口での人間の仕事は減りますね。

これで、ATMは人間の仕事を「奪った」のでしょうか?米国の研究では、「ATMは人間の雇用を増やした」と言われています。

たしかに、口座入出金を仕事としてやる人はほとんどいなくなりました。しかし、そういう付加価値の低い仕事を機械にやらせることで人間はもっと付加価値の高い仕事ができるようになりました。たとえば、お客さんの悩みを聞いて、それに合致した金融商品をおすすめすること。

そしてATMのおかげで口座入出金する業務コストは劇的に下がったので、支店開設のハードルが下がりました。結果として金融機関の支店が増え、そこで働く人間の総数も増加し、ATMによって雇用が増えたのです。

なお、人口知能による訴訟関連資料の分析によって、逆に法務人員の雇用が増えたという最近の米国の分析もあります。機械によって効率化できたので、いままでコストが高くて実施できなかった資料調査もできるようになり、そこに人間にしかできない作業が増えたから、ということです。

 

上記のATMの話やそれ以外の技術革新による雇用の変化については:

 

技術革新は職を変える、個人も変わっていくべき

人工知能やIT(情報技術)が職を奪うというのは短絡的な見方です。人工知能やITなど高度な技術は雇用を増やす効果もあるのです。

ただ、今まであった仕事の中には、無くなるものもあります。例えば、ATMの例では、口座入出金の仕事はなくなりました。でも、毎日毎日、口座入出金をする仕事人生が無くなったからといって、悲しむべきことでしょうか?そういう単純な仕事から人間が解放されたのは、いいことだと思います。

無くなる職があれば、新たに生まれる職もあります。そこで人間に必要なのは、そうやって変化していく仕事内容に対して、自分も適合していくこと。自分を変化させて、成長させていくことが大事になっていきます。

「いままでどおりの仕事だけをやりたい!」では、確かに働くところは無くなっていくかもしれません。

 

誰もが持つ、創造性の輝き

変化する環境に対して、自分を適合させていく。新しいことをおそれずに、自分を成長させていく。これらのことには、「いまはないものを思い描き、それを実際に創りだす」という想像力と創造性が求められます。「まだやったことはないけれど、こうすればうまくいくのではないか?!」という態度です。

想像するだけではダメ。現実世界で実現可能なものを想像しなくてはなりません。

また、創造しなくてはなりません。絵に描いたモチではなく、本当に実現可能なことを思い描き、実際に自分や他者がやってみることができること。

絵空事でない想像力には、現実の理解が必要です。

実現可能なことを創造するには、「いまはまだないが、ありえること」を思い描くことが必要です。

それは、「知っている」だけでは不十分。「本当に理解すること」が必要で、そのためには身体感覚を伴う体験が必要です。電子的なスクリーンを見つめるだけでは体験として貧弱。見て、触って、こねくりまわせる。そういった複数の感覚を絡ませた体験が、想像力と創造性のコヤシになっていきます。

 

いつものアレを、ちがう目でみてみる

また、もう一つ大事なのは、「いま見えているこれを、別の見方でみてみると?」という観点。「よく知っているあれでたとえてみると?」というもの有効です。

例えば原子。理科や物理では、「中心に位置する大きな陽子のまわりを、電子がまわっている」というモデルを教えますね。まるで陽子が太陽、電子が惑星のようなので、太陽系型をしています。

このような太陽系型モデルを使うと、いろんな現象をわかりやすく説明することができます。

ですが、この太陽系モデルは誤った考え方です。現実には陽子は太陽のようなものではないし、電子は惑星のように陽子のまわりを回っていません。現実はもっと複雑で奇妙です。(素粒子物理学の世界です。)

太陽系モデルは現実と乖離した誤ったモデルですが、それでもとても有用です。だからあちこちで使われます。「もし原子が太陽系のようなものだったとすると。。。?」で説明すると、いろんなことがすっきりして、実際に役立つことができるのです。

原子は「太陽系でたとえてみると?」とか「確率の雲でたとえてみると?」といった複数の見方ができ、それらは全てとても有用なのです。一つのものの見方だけでは、想像力と創造性が制限されてしまいます。いろんな見方をしっていること、同じものを違う見方でみてみること。これはとても重要なスキルなのです。

 

コンピュータサイエンスと想像力と創造性

コンピュータサイエンスは、「情報」という目に見えないもの、手でも触れないものを扱っています。「アルゴリズム」というつかみどころのないものを扱っています。「人とコンピュータはどのように協調するか」といった新しい課題を解き明かしていきます。

物理的なものではないからこそ、様々な見方が必要だし、それをやりやすい学問分野です。コンピュータサイエンスそのものも有用ですが、コンピュータサイエンスを題材にすると、想像力と創造性を養う遊び体験がいくつもできると考えています。

プログラミング教育も結構ですが、プログラミングは「自動車修理」のようなスキル。自動車が変わったら修理できない、というのでは役に立ちません。役立つのは、その考え方。そういう点で、プログラミングよりもコンピュータサイエンスにもっと注目すべきと思います。

とはいえ、まだ日本に根付いていないコンピュータサイエンス。かながわグローバルIT研究所は、コンピュータサイエンスの遊び体験を創っていきます。

2進数での遊び体験「バイナリートランプ」

まず手始めは、2進数で遊ぶことができる「バイナリートランプ」。デザインもいろいろ考えて創りこんであり、眺めるだけでも奥が深いですが、実際に遊んでみることで、「いつもの数がちがってみえる」という新たな視点を体験できます。

まずは、「バイナリートランプ」の画像などもある以下のページをご覧にになってください!
2進数で遊ぼう!バイナリートランプ