クリスマス商戦が目前ですが、米国のある新聞が「子どもには電子機器などデジタルおもちゃを贈らないで」との記事を掲載しました。同国の小児科学会の提言も踏まえています。
曰く、デジタル系おもちゃは教育効果を売り文句にしているが、実際は逆効果。子どもに必要な親や周囲の人とのコミュニケーション機会を奪う。音が鳴ったり画面がある玩具があるだけで子どもの注意が奪われて良いコミュニケーションは取れなくなる。
わたしはコンピューターが専門でIT技術にもある程度詳しいので、子どもにもアプリとか与えていると思われ勝ちですが、逆です。
子どもにはスマホは触らせない。むしろテレビもほとんど見せない。長男は2年生の後半までドラえもんすら見たことありませんでした。(学校でドラえもん関連の課題が出たのでやむなく見せました。)音が鳴ったり光ったりするおもちゃは買わない。親もほとんどテレビを見ない。
めったにテレビを見せないので、テレビを見たときの子どもの行動の変化は顕著です。エネルギーを画面に吸いとられて疲れきっています。不機嫌になります。創造的な遊びができなくなり、つまんない、何をしていいかわかんない、を連発します。毎日たくさんテレビを見せたら彼の心はどうなるのか、考えるだけで恐ろしいです。(※テレビからの影響は幼児期に顕著でした。小学校中学年以降にはそうでもないです。)
最近は未成年のゲーム中毒やスマホ中毒の報道が増えましたね。同じ症状です。スマホやゲームを止めると症状は治まるようですが、逆にいうとスマホやゲームを止めない限り絶対に治まらない。
治まったとしても、子ども時代に失った時間は戻りません。その間に体験すべきだったことは、体験しないまま人生を歩んでいかなければならない。
別のニューヨークタイムズ紙の記事によると、米国の富裕層やIT知識の高い親たちは、電子機器のないことを売りにしている学校に子どもを通わせるようになってきているそうです。タブレットなどを売りにするのは、教育にお金をかけられない学校。先生を雇うよりタブレットのほうが安い。結局、大人が楽するために電子機器に子どものお守りをさせるのです。そしてそれを喜ぶ親たち。
IT業界を知る人はわかっているはずです。ゲームや娯楽系アプリは全て、ユーザーを掴んで離さないよう設計されています。子どもがYouTubeを見続けたいのは、そのようにYouTubeは工夫して設計されているから。その方がYouTubeが儲かるから。
だから、給与水準も高く、アプリ系商品がどのようにして金を儲けるかを知ってもいる米国IT業界の親たちから、教育の電子機器離れが始まっています。
今から子どもに電子機器やアプリ系おもちゃを買い与えようとする人たちへ。それらの商品をを作った人たちは、自分の子にはそれを使わせないよう心がけていることを忘れないでください!
参考情報:
- 「Thinking of giving a digital toy to a child this year? Pediatricians say don’t」、The Seattle Times、2018年12月3日
- 「A Dark Consensus About Screens and Kids Begins to Emerge in Silicon Valley」、The New York Times、2018年10月26日
- 「The Digital Gap Between Rich and Poor Kids Is Not What We Expected」、The New York Times、2018年10月26日
(かながわグローバルIT研究所 森岡剛)