【ノイマン型モデル】70年以上も変わらない、コンピュータシステムの基本構成
例えば「移動のための機械」では自転車やバイク、自動車や特殊車両、電車や船、航空機など動作原理も様々なら運転方法も様々です。現代のコンピュータもICカードの内臓チップやスマートフォン、PC、データセンタのサーバーやスーパーコンピュータなど、サイズも性能も実に多様ですが、プログラム実行方式は根本的に同じです。ハードウェアの基本的な構成要素とその働きを規定する設計思想が共通なので、プログラミングの基礎を一度身に着けてしまえば全てのコンピュータに応用できます。

ノイマン型モデルは、70年以上も変わらない
コンピュータシステムの基本構成です。
その設計思想が「ノイマン型モデル」。大きく分けてメモリ、処理装置、入出力と周辺機器、制御装置、という要素で構成されます。提唱されて70年以上、各構成要素の物理構造や性能が大きく変わる中、構成要素間の役割分担は変化していません。この構成があまりにも当たり前になってしまったという事実が、ノイマン型モデルの凄さを物語っているのです。
ノイマン型モデルの構成

ノイマン型モデルの構成
「処理装置」と「制御装置」は、コンピュータの本質であるプログラム実行を担当します。現代のコンピュータではプロセッサに集約されています。
プロセッサが直接やり取りするのはメモリだけです。プロセッサが実行するプログラムや、処理対象であるデータが格納されています。周辺機器とのやり取りもメモリを介して行われます。
一般的に「コンピュータ」と呼ばれているのは、プロセッサとメモリに加え、ハードディスクやディスプレイ、キーボード、マウスといった周辺機器を備えたものを指しています。
キーボードやマウスは入力機器、ディスプレイは出力機器です。ハードディスクは入力・出力の両方を行う周辺機器の例です。
現代のコンピュータとノイマン型モデル

現代のコンピュータとノイマン型モデル
制御装置と処理装置はプロセッサとして一体化しています。指先くらいの大きさですが、中では何十億個もの半導体素子が複雑に繋がりあってできています。
半導体技術によるメモリが普及しています。家庭用PCでも4GB以上のメモリを搭載するのが普通になりましたが、4GBとは0と1を320億個以上も記憶できる容量になります。
PCのキーボードとマウスは入力機器の代表例です。スマートフォンではタッチパネルを用いてコンピュータに情報を入力しています。
ディスプレイなど表示装置は出力機器の代表例です。プリンターなども出力機器に含まれます。
ハードディスクなど大容量記憶媒体は、読み取りと書き込みの両方が可能な、入出力機器の代表例です。
ICカード、ノートPC、スマートフォンとノイマン型モデル
ICカードの内臓チップにはプロセッサとメモリが搭載されています。カードリーダーライターとやり取りするためのアンテナなどが入出力に該当します。
PCではプロセッサにはファン(扇風機)がくっついています。プロセッサが操作する際に発生する熱をこもらせないためです。
プロセッサは小さなものです。キーボードやディスプレイなど周辺機器の大きさでPCの大きさが決まります。
データセンターとノイマン型モデル
ネットワークを経由して提供するクラウドサービスを提供しているのは、何万台ものサーバーで構成されたデータセンターです。
一つ一つのサーバーがノイマン型モデルに対応し、プロセッサとメモリ、そして周辺機器を持っています。
ブレードサーバーというのは、ブレード(刃)のように細長く場所を取らないタイプのサーバーのことです。
マルチコアプロセッサ
処理装置と制御装置から成るプロセッサはCPU(中央処理装置)とも呼ばれていました。しかし一つのチップ上に複数のプロセッサを搭載して並列処理を行う「マルチコアプロセッサ」の普及とともに、CPUという用語はあまり使われないようになっています。複数あるコアはそれぞれ独立しているため「中央処理装置」という概念があてはまらなくなったからです。
それぞれのコアが制御装置と処理装置から成っています。複数あるコアは、同じメモリにアクセスするため、並列処理による高速化が可能です。その反面、同じデータに複数のコアが同時に読み書きを行うとデータの不整合の原因となるため、注意が必要です。
2つのコアからなるプロセッサを「デュアルコア」、4つだと「クアッドコア」、8つの場合は「オクタコア」などと呼ぶことがあります。製品によっては10個以上のコアを持つものもあり、「メニーコア」などと呼ばれます。コア1つ1つが処理装置と制御装置の機能を持つプロセッサです。
従来の、コアが1つのものを「シングルコア」と呼びます。