【処理装置】高速で正確、きっちり指示をこなすのが得意な「頭脳」
コンピュータの本質である「情報の加工」を担うのが処理装置です。「頭脳」にも例えられますが、処理できる内容はメモリのリードやライト、加減乗除、条件判定などごく単純なものしかありませんが、それらを1秒間に数億回以上実行できる高速処理能力が強みです。単純な処理の組み合わせで複雑な機能を記述したプログラムさえあれば、処理装置はその真価を発揮することができます。SNSアプリや証券取引、ロケットの打ち上げや囲碁で人間に勝る人工知能など様々な機能が、プログラミングによって実現されています。

処理装置(processing unit)は高速で正確、 きっちり指示をこなすのが得意な「頭脳」です。
処理装置が扱う情報は0と1だけで書かれているので、数としての0と1を扱う算術演算と、真偽値としての0と1を扱う論理演算を実装したALU(算術論理演算装置)が処理装置の核となっています。コンピュータの用途の広がりに対応して、動画の処理やネットワーク通信など特定の処理を効率的に実行するための装置を搭載しているものもあります。
算術論理演算装置ALUの基本機能

算術論理演算装置ALUの基本機能
プロセッサによる処理の中核にあるのがALUです。2つの入力データ(オペランド)に対して命令コード(オペコード)で指定された処理(オペレーション)を行い、その結果を出力します。
図の説明
- ADDは算術演算の例で、2つの入力の足し算を行います。
- ORとNOTは論理演算の例です。ORは桁ごとに論理和を計算します。
- NOTは桁ごとに否定(真偽の反転)を計算します。
レジスタと命令

レジスタと命令
ALUの入力や出力の容れ物が「レジスタ」です。
レジスタの大きさ(ビット数)によって、処理装置が一度に扱うことができる情報の量が決められます。昔は8ビットでしたが、それが16ビット、32ビットと大きくなり、現在では64ビットの製品が普及しています。
レジスタの数は数個から100個以上まで、製品によって様々です。
ALUの処理内容は、オペコードとオペランドで構成された命令で表されます。

オペコードとオペランドの例
図の説明
- これは「R1とR2に格納された数を足して、結果をR1に格納せよ」という加算命令となります。左図でいうと、レジスタLはレジスタNと同じになっているパターンです。
- 具体的な命令の仕様は、製品によって様々です。
処理装置いろいろ
iPhone7は、Apple A10 Fusionプロセッサを搭載しています。4つのコアを持つクアッドコアプロセッサです。それぞれのコアは64ビットプロセッサで、各レジスタには64ビットを格納できます。命令の仕様はARM社の命令セットアーキテクチャに従っています。
ノートPCに搭載されているプロセッサは様々です。例えばインテル社のCorei7は64ビットプロセッサで、命令の仕様はIntel 64という命令セットアーキテクチャに規定されています。コアの数は2,4,6の3種類あります。